2024-09-10
令和6年9月1日に曰佐公民館で、南区地域の“つなぐ力”応援事業『第1回 曰佐校区 地域活動のあり方ワークショップ ~これからの曰佐校区地域防災を考える~』が開催されました。
当日は防災の日でもあり、このワークショップでは「地域防災の現状を確認する』をテーマに、曰佐校区自治協議会役員、自治会、各種団体、子ども会育成連合会、校区青少年育成連合会ジュニアリーダーなど34名が参加し、5・6名ずつの班に分かれて、自然災害や防災活動について話し合いました。
初めの挨拶で、曰佐校区自治協議会の立川会長は「台風の影響で、一昨日まで、この公民館も避難所になっていました。校区により、気を付けるべき災害が異なります。この場で問題点を出し合い、自然災害への向き合い方を考える機会になればよいと思います」と話されました。
「福岡市共創による地域づくりアドバイザー」である貞清潔さんをファシリテーターに迎え、福岡県内外での災害について学んだ後、曰佐校区の地震による揺れやすさマップを見ながら、心配事や、問題点を出し合いました。
「先日、台風で避難所を開設したが、部屋割りだけでも大変だった」「水害の時は、都市高速道路など高いところに登れる場所があるのか調べておく必要がある」「ここは大雨の時に浸かりやすいので注意が必要」などの意見が出ていました。
参加者はそれぞれ、気づいた点を付箋に書き出したあと、各班に1人を残し、他の班に移動して話し合い、さらに意見を加えていきました。
そして最初の班に再び戻り、これまでの話し合いで出た事をもとに意見をまとめ、最後に3つの班が発表を行いました。
1班(曰佐校区自治協議会立川会長)の発表
「大きなタイトルとしては4つあり、直接の被害、住民の意識、個人情報の壁、それから避難所の課題でした。
冠水や風害による古い家の倒壊や、風水害の直接的な被害についての心配が多く出ました。
次に、住民の意識がどのくらいあるのかについてです。避難訓練の参加者が少ないんじゃないかと。役員も高齢化しつつある中、要避難者も助けに行かなきゃいけませんが、個人情報保護の壁があり、高齢者がどこにいて、避難できたかどうかも把握しづらくなっています。
隣の人は分かるけど1軒向こうの人はわからない、では助けることもできません。日ごろから住民同士が直接コミュニケーションを取ることができる場をもっと増やせればいいのですが、なかなか難しい。
今回、若い方と話をしてみると、高齢者の興味がある部分と、若者の興味のある部分が大分違っていることが分かりました。
何の催しで交流できるかが非常に大切ですが、若い人はゲームに興味があるけれども、ゲームといっても幅が広くて、ゲームの種類によって農業と工業ぐらい全然違うんだそうです。
じゃあダーツとかモルックとかそういったニューゲームは?と聞くと、まあそういったのもありかな、という意見をもらいました。
もう1つ、避難所の課題として、町内会の防災設備では停電した時の水や電気の問題、トイレの問題など色々な問題があるという話が出ていました」。
4班(曰佐校区自治協議会末武事務局長)の発表
「大きく分けると3つあります。まず、曰佐校区の自然などについて知っておかないといけません。那珂川に近いが高台がないなど、しっかりと認識をしてから行動する必要があります。ガソリンスタンドが1箇所しかないので給油に来る自家用車が集中したら、付近の道路が大渋滞になる可能性もあります。
次に、コミュニケーション不足について。どこに誰が住んでいるかという情報は、私たちには全く知らされていません。家族や子ども、高齢者、介護者がいる所を、どこに、どうやって助けに行いけばいいのかが課題です。
ジュニアリーダーの子は『その時は、もう待つことしかできないだろう』と話していました。個人情報保護のため名簿が作れない、今の時代に合ったコミュニケーションの手法を取るしかないという意見でした。
そして最後に避難先。公民館が川に近く危ない所にあるということが不安だという意見がありました。施設や企業など、新しい避難先の確保も考える必要がありますが、道路が狭く、家屋が倒れて通れない事もあるかもしれません。どういうルートで避難させないといけないとか、そういった点もしっかりみんなが知っておく必要があります」。
3班(校区青少年育成連合会ジュニアリーダー)の発表
「十数年しか生きていないので、大きな災害を経験したことがなく、想像が全然できなかったというのが正直なところですが、まず、最初に上がったのが環境的な問題です。
能登半島地震では地盤が緩く、建物がつぶれるのではなく基礎の部分から倒れてしまうという被害があったそうです。曰佐校区にも、地盤が緩い場所があれば不安、という意見が大きくまとめて1つありました。
次に、コミュニケーション。他の班の方々も発表されたように、校区全体のグループLINEなどがあればいいのですが、急には作れないと思いますので、学校みたいに一斉メールを送れるシステムがあればいいなという話になりました。
福岡市や県からの避難の一斉メールなどが配信されていると思いますので、極端なことを言えば、校区ごとにそのような発信をできる権限を持つ人がいるといいなという話が出ました。
あと1つは、内水氾濫の危険性について。洪水ハザードマップには、大きな川の近くしか浸水しないように書かれていますが、大雨の時は、家の周りにある用水路や、ため池のところが氾濫してしまう可能性もあると分かりました。この場所はどれくらい危険ですよという住民の体験に基づくマップが欲しいという話もありました」。
ワークショップ終了後に、ジュニアリーダーとして参加していた方に感想を伺うと、
「自分が知らない災害が福岡県内でも起きていることが分かりました。いつか経験する可能性があると思って、事前に話し合って準備しておくべきだと実感しました」
「被害予想範囲の地図を見ながら地域の方々と話す中で、昔はここが田んぼだったと聞き、学校の授業で「川の周りには田畑が多い」と習いましたが、実際にそうだったと知りました。
大きな災害を経験したことがありませんが、皆さんの話を聞いて具体的な想像につながりました。このような機会がなければ日頃あまり考えない話題だからこそ、災害についてより知っておく必要性を感じました。
学校でも「気を付けましょう」という話はありますが、その場で終わってしまいます。今日話したことを軸に、本当の災害を想定してどうすればいいのか、学校外ではどう動くのかについても授業で取り上げてもらえると、後輩たちが困らずに済むのかなと思いました」と感想を述べていました。
2回目のワークショップは「地域防災の取組を考える」をテーマに、10月20日に開催予定です。
曰佐校区の情報は、曰佐校区自治協議会ブログ、公民館ブログ、公民館だよりをご覧ください。