2026-03-17
体験的に学ぶ防災研修 | 早良区男女共同参画をすすめる会主催
大規模災害が起きたとき、避難所では日々さまざまな判断が求められます。
物資が足りないとき、どう分けるのか。夜に避難指示が出たとき、どう行動するのか。そして、多くの人が集まる避難所をどう運営するのか。
こうした現実的な課題を体験的に学ぶ防災研修が、早良区で開催されました。

▲早良区男女共同参画をすすめる会 細川会長
主催は早良区男女共同参画をすすめる会。

▲博多あんあんリーダー会
講師は防災士のトシ子さんはじめ9名。早良区の地域関係者が多数参加しました。

▲防災士トシ子さん
東日本大震災から15年、熊本地震から10年という節目の年に、地域防災のあり方を改めて考える機会となりました。

研修の中心となったのは、災害対応ゲーム「クロスロード」です。
参加者はグループに分かれ、災害時に起こりうるジレンマについてYESかNOかを選び、その理由を話し合います。
例えば、こんな問題です。
「避難者300人に対し弁当が150食しか届かなかった。今すぐ配る?」
避難所には子ども、高齢者、病人、妊産婦、食物アレルギーのある人など、さまざまな事情を持つ人がいます。
議論では、おにぎりにして分ける、力仕事をしている人を優先する、次の物資情報を待つなど、多様な意見が出ました。
このゲームでは「否定しない」というルールがあり、参加者は互いの意見を尊重しながら議論を進めます。
同じ問題でも答えは一つではなく、状況や立場によって判断が変わることを体験的に学びました。
話し合いの中で最初の判断を変える参加者もおり、災害時には状況に応じた柔軟な判断が必要であることが共有されました。


▲防災寸劇
研修では、防災寸劇も行われました。
参加者より代表して避難所運営委員長や行政職員、PTA役員、高校生などの役になりきってもらいました。
舞台は、大規模災害後に開設された小学校の避難所です。
地域の役員経験者が避難所運営委員長となり、市職員とともに避難者対応にあたりますが、避難者より女性から生理用品の要望、PTA役員の協力申し出を断ってしまう、食物アレルギーの子どもへの対応など、様々な要望や意見がよせられ、運営委員長が一人で仕事を抱え込む。
寸劇を通して見えてきたのは、多様なニーズへの理解不足、運営責任者への負担集中、情報共有の不足といった避難所運営の課題でした。
寸劇の後半、状況は少しずつ変わります。
PTA役員、高校生、料理店のコックなど、地域の人たちがそれぞれの得意分野を活かして協力を申し出ます。
物資管理や炊き出し、子どものケアなどが分担され、避難所運営は徐々に改善していきました。
ここで強調されたのが「共助」という考え方です。
行政や役員だけではなく、住民一人ひとりが関わることで避難所はより安全な場所になります。
研修では、避難所におけるジェンダー課題についても紹介されました。
熊本地震では、避難所でDVや性被害が発生したケースも報告されています。
そのため、相談窓口の掲示、男女でのパトロール、多様な人が参加する会議など、「男女共同参画」の視点を取り入れた避難所運営が重要とされています。

会場では非常持ち出し袋の中身や備蓄品についても紹介されました。
非常食、衛生用品、日用品など、日常から備えておくことの重要性が説明されました。

▲車いすリヤカー
避難時に役立つ器具なども紹介され、災害時の支援体制について考える機会となりました。

▲ダンボールベッド
災害時に重要なのは、誰がどこに住んでいるのか、誰がどんなことが得意なのかを普段から把握しておくことです。
地域のつながりが、いざという時の大きな力になります。

今回の研修では、災害時の判断の難しさや避難所運営の課題を体験的に学びました。
そして改めて共有されたのが「地域で支え合う防災」の重要性です。
避難所は行政だけが運営する場所ではありません。地域の住民一人ひとりが関わることで、より安心できる場所になります。
平時から地域で話し合い、備えておくこと。その積み重ねが、災害時の大きな力になります。